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20/12/2005

T氏の死の真相

やはりイニシャルにしておこうと思って、タイトルをT氏に変えた。T氏って誰?っていう質問をいただいたのだけど、有名人ではないから、ぐぐったって出てこない。そのまま歴史にのこるわけもなく消えてしまう、ごく普通のただの人である。私は書いておきたいと思った。それだけ。

ある日の朝、出勤時間を過ぎても、彼はいっこうに会社にあらわれなかった。「様子をみてきてくれ」社長は、事務員または経理長あたりに告げる。長年暮らしていたTANGLONGホテルの部屋の前。呼んでも返事がない。ホテルの従業員が合い鍵でドアを空ける。ベッドの上でやせ細った初老の男は冷たくなっていた。

ミステリーなら、他殺か自殺か、密室?という風に話が転がりはじまるところだ。日本なら変死ということで検死が行われるはずだろう。ベトナムの地方都市である。病死と片づけられて終わりだったと思う。国籍は日本人だから、本来ならばニュースになったかもしれない。繰り返すけど、ここはベトナムの地方都市なのだ。かって、このTANGLONGホテルの裏に他殺体がみつかったことがあったらしい。もちろん、新聞でもテレビでも報道されることはなかった。私もベトナム従業員から耳打ちされて聞いただけで。もちろん噂である。しかし、こういった後進国では噂が正しいことが多い。死体があったのは本当だと私は信じた。

 話が横道にそれた。病死と片づけられて終わりと書いた。もちろん、T氏は長らく病気を患っていたからだ。ベトナム語で書こう。病気はSIDAである。(越系)日本人が観光地のホテルでSIDAで死んだというのはあまりよろしくない。ベトナム当局はベトナム人が病死した。ということにしたのだと思う。日本人家族も当に縁を切っていたのだろう。彼がSIDAだったからだ。アメリカから、姉がやってきて、遺体もひきとらずに、適当に埋葬して、などど言って、すぐ帰ってしまったのだという。T氏にとっては自業自得なのだろうか。もちろん、たいていの人はそういうだろうけど。ベトナム人として死んだからいいんじゃないか?

思えばT氏は通訳という仕事で、ある時はベトナム人、ある時は日本人と立場を使い分けて、器用にお金を稼ぎ、また不器用にもどちらからも嫌われた。いや、いまでも信用できた、という人もいることを書いておきたい。死んでしまうと、さすがの私も冷静になれるというものだ。

この話。続けるかどうかは不明。暗いでしょ。

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Comments

続き、書きました。前に書いたのを訂正して再構成したものだけど。

Posted by: 叫化鶏/nakamiti | 21/12/2005 at 17:57

確かに重いけど、ちょっと読みたい気もする。

Posted by: 一蔵 | 21/12/2005 at 12:27

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